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(1級建築士)梁公式の導出① 曲率~曲げモーメントの式からの積分

こんばんは。  

1級建築士試験の構造分野で、必ず出てくるものが「梁公式」。しかし、以前の記事でも書いた通り、できれば「梁公式は覚えない」ほうが良いと思っております。
もちろん、確実に暗記できる人は覚えても良いですし、普段仕事で使っている人*1で既に覚えてしまった人はそれでも良いのですが、そうでない人のために、そもそも梁公式ってどうやって導出されるのかを紹介します。

曲率と曲げモーメントの関係式

図のように梁に荷重が作用すると、変形後には材軸線は変化しますが、ある位置xでの材軸線の鉛直方向への変位をたわみv(x)、接線の傾きをたわみ角θ(x)といいます。また、このたわみ角θ(x)のxに対する変化率を曲率 \kappaといいます。
f:id:lucky-radio:20180415230645p:plain  \kappa = - \frac{d\theta}{dx} *2

さらに、梁のヤング係数をE、断面2次モーメントをI(位置xによらず一定とします)とすると、曲率と曲げモーメントには以下の関係が成り立ちます。*3

 M = EI\kappa

たわみ曲線の微分方程式

位置xにおける梁のy方向への変位(たわみ)をv(x)とすると、微小変形の範囲では、 \theta (x) = v{\prime}(x)となります。ということで、上で出てきた曲げ剛性EIと曲率 \kappaおよび曲げモーメントMの関係式は以下の通りとなります。
 EIv{\prime\prime}(x)=-M(x)

あとは、この微分方程式を積分して行けばたわみv(x)やたわみ角θ(x)を求めることができます。

基本となるパターンでの導出の例

梁の問題は、梁の形状(端部の支持条件)と荷重の種類で分類できます。基本的には、形状として片持ち梁と単純梁の2種類、荷重は集中荷重と分布荷重の2種類があります。

片持ち梁×集中荷重

片持ち梁の先端に荷重Pが作用するというものです。最も基本となる形ですね。
f:id:lucky-radio:20180415231446p:plain

静定構造なので反力は力の釣合いから求まります。さらにそこから曲げモーメントM(x)を求めると、M(x)=-P(L-x)となります。
あとは、このM(x)を上の式に代入して積分していきます。  v{\prime\prime}(x)=-\frac{M(x)}{EI} =\frac{P}{EI}(L-x)  v{\prime}(x)=\frac{P}{EI}(Lx-\frac{1}{2}x^2)+C_1  v(x)=\frac{P}{EI}(\frac{L}{2}x^2-\frac{1}{6}x^3)+C_1x+C_2
後は境界条件としてv(0)=0v{\prime}(0)=0を入れて整理すると、
v{\prime}(x)=\frac{P}{EI}(Lx-\frac{1}{2}x^2)

v(x)=\frac{P}{EI}(\frac{L}{2}x^2-\frac{1}{6}x^3)

ということで、これにx=L を入れると、梁公式である
 \theta=v{\prime}(L)=\frac{PL^2}{2EI}

 \delta=v(L)=\frac{PL^3}{3EI}

が得られます。

単純梁×集中荷重

単純梁の場合もほぼ同じですが、曲げモーメントと境界条件が少し変わります。
f:id:lucky-radio:20180415232841p:plain

曲げモーメント  M(x)=\frac{P}{2}x

境界条件  v{\prime}(\frac{L}{2})=0 , v(0)=0

あとは上と同じように積分を計算すれば梁公式が得られます。

 \theta=v{\prime}(L)=\frac{PL^2}{16EI}

 \delta=v(L)=\frac{PL^3}{48EI}

片持ち梁×等分布荷重

等分布荷重の場合、曲げモーメントがxの2次式になるのが特徴です。

f:id:lucky-radio:20180415233302p:plain

 M(x)=\frac{qL^2}{2}x-\frac{q}{2}x^2

あとは、集中荷重の時と同じように積分するだけです。

 \theta=v{\prime}(L)=\frac{qL^3}{6EI}

 \delta=v(L)=\frac{qL^4}{8EI}

分布荷重になったので、それぞれの式に出てくる梁長さLのべき乗のところが1つ大きくなります。

単純梁×分布荷重

こちらも上と同様に積分するだけなので詳細は割愛。 f:id:lucky-radio:20180415233955p:plain

 \theta=v{\prime}(L)=\frac{qL^3}{24EI}

 \delta=v(L)=\frac{5qL^4}{384EI}

ということで、梁公式の導出についてでした。今回は最も基本的な4種類の梁を対象としました。他にもいろんなタイプの梁が出てきますが、基本は簡単で、これら4種類の梁の組み合わせで考えることができます。

改訂版 図説 やさしい構造力学

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*1:そんな人いるのかな?

*2:曲げモーメントの符号を合わせるために、通常はマイナスをつけます。

*3:この導出は面倒なので、教科書等を確認してください