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(1級建築士試験)構造系以外の人が、構造分野をどう勉強するか?

こんばんは。

 

1級建築士試験の中でも構造は、配点も大きく、またしっかり勉強すれば誰でも高得点を狙えると思われるので、試験勉強の初期の段階で早めにマスターすべきだと思います。しかし、特に構造系以外の出身の方では、なかなか点数が伸びず悩んでいる方を多いようです。

そんなわけで、1級建築士試験の構造の勉強の方法について解説します。*1

まずは、全体像を把握しよう

構造分野は全30問とウェイトが大きいですが、出題範囲は法規・施工ほど広くないと感じています。大まかな出題分野としては、以下のものがあります。

  • 構造力学(主に計算問題)
  • 荷重、外力、振動について(計算2問、文章問題も少し)
  • 構造計画全般
  • 構造種別ごとの問題(木構造、RC、鉄、基礎)
  • 建築材料

構造力学・振動

まず手を付けるのは構造力学の計算問題です。これは過去問と同じパターンしか出ませんので、確実に点を取りたいところです。また、振動の問題も、計算問題は簡単なので確実に取りましょう。

 荷重・外力・構造計画全般

荷重・外力および構造計画全般については、法規とリンクさせると理解がしやすいと思います。ただし、細かい数字も覚える必要があるなど、意外と得点しにくい分野でもあります。

 構造種別ごとの問題

構造種別ごとの問題は、構造系以外のひとは、RCの問題を中心に勉強することをお勧めします。これは、鉄骨に比べて、おそらく「覚えるよりも考える」タイプの問題が多いからです。

 建築材料

建築材料については、構造が苦手のひとは、正直捨てても良いかと思っています。というのは、覚えていないと解けない問題が相対的に多いから。

 

ということでざっと出題分野を見てきましたが、これらのうち構造力学の全体像をわかりやすくまとめたサイトがありました。

http://www.ura410.com/01_gakka/koukai_siryou/kozo/kozo1_seitei_ura410.pdf

建築士のテキストを買ってきて順番に問題を解いていくよりも、このサイトにある項目ごとの関連を見てから勉強していくことで、どの知識がどこに繋がっていくかがより鮮明になり、それだけ理解も進むと思われます。

 

言葉の定義を覚える

さて、構造系以外の出身の人は、そもそも構造分野で出てくる言葉の定義を正確に理解していないことが多いと思います。*2ここをあいまいにすると、あとあとつまづくことになりかねないのです。またこのとき、それらの「単位」を合わせて覚えるようにしましょう。

たとえば、

 

★「力」と「応力」

物体の働く力(単位はN)と、それを断面積で割った単位面積あたりの力が応力(単位はN/㎜^2

 

★「変位」と「変形・ひずみ」

外力などによりある点Aが点Bまで移動したときに、その移動量が変位(単位はmや㎝など)。一方、おなじ1cmの変位でも、長さ5mの鉄骨が1㎝伸びたのと、1mの鉄骨が1㎝伸びたのでは、当然その意味合いが違います。よって、元の長さで割って、元の長さに対する変位量の割合に変換したものが「変形・ひずみ」。当然、元の長さで割っているので、単位はありません。

 

他にもいろいろとありますが、知らない用語が出てきたときはその定義を調べるとともに、その単位を覚えるようにすると、理解が深まると思います。 

計算問題は、公式に頼らない

建築士用のテキストを見ると、構造力学に関する様々な公式が羅列されています。ただし、とても全部覚えきれないですし、構造系の人でも知らない・使わないものを多く見られます。

これも、必要最小限の公式だけ覚えるようにして、あとは、その公式がどうやって導出されたかという背景を覚える方向にしたほうがいいと思います。

とりあえず覚えるものとしては、以下のものくらいかと思います。

力のつり合いとモーメント

これは覚えるしかありません・・・

長方形断面の断面2次モーメント

 I = \frac{bh^3}{12}

当然これも導出の過程があるわけですが、面倒なので覚えましょう。ポイントは、次元が長さの4乗になるところ。で、これに関連して、断面係数Zは、次元が3乗になるところがポイントとなります。

 座屈荷重

 P=\frac{\pi EI} {l_c^2}

この式は、分子の断面2次モーメントは1乗、分母の座屈長さは2乗となっているところがポイントです。建築士の試験では、この式で正確な座屈荷重を求めるというよりかは、断面2次モーメントおよび座屈長さが変わったときの、座屈荷重の大小関係を比較するという使い方になります。

有周

 T= 2\pi \sqrt{ \frac{m}{k} }

この式では、重いものほど動きが遅く(周期が長く)、固いものほど動きが速い(周期が短い)というイメージと合わせて覚えれば良いと思います。 

 

はり公式は覚えない

建築士試験では、梁に荷重が作用した場合のたわみ・たわみ角を求める問題がよく出てきます。テキストには梁の公式があるのですが、単純梁か片持ち梁か、固定端か自由端かなどの条件により係数が変わり、暗記していくといざ本番で、「ここの係数は何だったかな?」となってしまい、危険です。

梁公式の導出の際の考え方を勉強し、時間がかかっても一から計算するほうが、安全だと思います(構造の試験は、時間には余裕がありますので)

このあたりはまた別途記事にしたいと思います。

理屈で解ける問題から勉強する

構造のなかにも、覚えていないと解けないような問題がいくつかあります。これらの問題を取りに行くために勉強時間を割くのはおそらく(特に構造系以外の人には)効率が悪い。なので、理屈で解ける問題を勉強しましょう。

たとえば、H29年度No.11問のように、鉄筋コンクリート構造におけるひび割れの発生とその要因を選ぶ問題はよく出題されます。これも、ひび割れの種類(名前)を暗記するのではなく、コンクリートの基本的性質である「圧縮に強く引っ張りに弱い」という点を理解していれば、いちいち暗記しなくでも解くことができます。

 

ということで、構造系以外の人が構造分野を勉強するときに考えることをまとめてみました。冒頭にも書きましたが、構造は得点源ですから、早めにマスターして、自信をつけたいところですね!

*1:構造系の人には当たり前の話をしますが、あしからず

*2:同様に、環境系以外の出身の人は、環境分野の言葉の定義・単位を知らず、しばしば間違えます